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2006 年04 月04 日

「ヒドゥン」または「そんなことする人には見えなかったわよねぇ」

いやあ〜、川崎の投げ落とし殺人犯、びっくりですね。
あの、無差別ぶり…持ち上げられれば誰でもいいみたいな。無差別殺人の意志を固めた人間がその辺うろうろしてるのは怖いよなあ。私は、医者にすぐ痩せなさいといわれているので、投げ落とし対象外だが、それでも、残忍以上に不条理な無差別ぶりには肝が冷える。
さらにびっくりしたのが、あの犯人。TVの報道によれば、温厚でにこやか、親切とすこぶる評判のいい男。写真なんかも被害者にこそ見え、殺人犯にはとても見えん。ご近所のインタビューでも「信じられない」「あの人がなぜ?」みたいな答えが次々返ってくる。
そんなとき、決まって思い出すのが映画「ヒドゥン」。まあ、B級ホラーアクションなのだが、一般市民が宇宙生物に寄生され、いきなり犯罪に走ってしまうという設定が「あの人がなぜ?」なのだ。
ストーリーは、SF小説の古典「20億の針」が元ネタで、人間に寄生して操る凶悪な宇宙生物(「ダークスカイ」や、最近では「スターシップトゥルーパーズ2」に出てきたようなやつ)と、それを追ってきた同じような寄生虫が人間を巻き込んで対決するというのが大まかなところ。で、凶悪なやつに寄生されたオヤジやストリッパーの姉ちゃんが突然銃をぶっ放しまくり、そんな事件の続発に不審を抱いた地元の警官と、ふらり現れたFBI捜査官(ツイン・ピークスのカイル・マクラクラン!というか「ヒドゥン」のほうが先)が協力して凶悪寄生虫を追い詰めていく。このFBI捜査官が、さすがマクラクランだけあって実は虫持ちで、挙動不審なところがいい味出してる。結末は良い寄生虫(マクラクラン)と地元警官との友情物語で、なかなか泣かせるラストだった(と思う)。
この映画では、寄生された小市民が次々凶悪化して大暴れするところが見所だが、こういうところがアメリカの持つ不安をうまく表現している、と公開当時話題になった(一部で…)。ホラー映画の面白さの大きな部分は、不可解というか、不安な事件に理解可能な物語を与え、さらに問題解決すなわちハッピーエンドまでつけてくれるというところが、カタルシス(浄化作用というかモヤモヤを取り除くIQサプリ効果)をあたえてくれるところにあるといわれている。それの見本のような映画だ。いわば、社会の不安のはけ口みたいなものか。
最近では、プロファイラーなんて人たちが活躍しているけれども、これも似たようなもんだ。今回の事件でも、TVでにわかプロファイラーが事件に理解可能な物語を与え、不安を取り除いてくれるんでしょう。
まあ、「頭に虫がわいたから」なんて説明はしないだろうけどね。

投稿者:親方
at 02 :54| 時評 | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

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