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2006 年10 月25 日

「カポーティ」

「冷血」を書いた人ですね。映画ファンとしては「ティファニーで朝食を」の脚本も忘れてはならないところ。
でも、それ以上に何を知っているかというと、何も知らない…。
だから、あの演技が似ているかとか、全然分からんワケですよ。
とは言うものの、「冷血」という傑作で犯罪系ノンフィクションノベルの創始者に祭り上げられている人だから、眼光鋭い、ハードボイルドな人と思ってたので、結構インパクトありました…(でも、絶賛発売中の原作本の表紙はもうちょっと男前)。

物語は「冷血」の執筆秘話みたいな内容。
片田舎で起きた一家皆殺し事件に興味を持った人気作家のカポーティ。酒場での文士仲間や取り巻きとの乱痴気騒ぎのかたわら、事件の取材を開始する。
やがて犯人が捕まり、金を積んで犯人に面会するうちに、お互い不幸な生い立ちであることが分かり、自分も同類であるとの認識を持つようになる。
やがて、狡猾で残忍な犯人が心を開いてくる一方、カポーティの小説も徐々に形を現してくる。しかし、それは犯人が考えていたような自分に有利な内容の小説ではなかった…。

で、だんだん犯人との友情と小説の板ばさみになってくるのだが、ここで結局グズグズしながらも小説を選んでしまうところが、このグズグズさを含めてダメでよい。
特に、最後まで犯人が語りたがらなかった殺人の一部始終を、嘘をついて聴き取るところあたり、実にダメだ。犯人の真剣な告白に「こんな汚い手を使って、聞き出すんじゃなかった」と後悔しつつ、チャッカリ小説に使ってしまうあたりが小説家としての業の深さを感じさせる。何というかカポーティが汚い手を使う分、犯人が浄化されてゆくような構図だ。この辺の対比と、グダグダになって人間的にダメになってゆく分、人間らしくなってくる感じ…なかなか好きです。

と書いたもの「冷血」読んでないんだよなぁ〜。めっちゃ、外してたりして…。まあ、これを読むヤツもどうせ読んでないだろうからいいか…。

投稿者:親方
at 02 :30| 映画 | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

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